監禁恋情
その日はたまたま院外で仕事があったため、病院を留守にしていた。
途中、愛が好きなお菓子を買って、病院に戻っている最中、異変に気がついた。
病院の方向から、煙が上がっている。

悪い予感に、スーツを乱しながら走り、病院に辿りついたとき、全てが信じられなかった。

自分の職場が、沢山の大切な患者たちがいる病院が、なにより愛しい愛のいる場所が、炎に包まれていた。




「おい!なにがあった!」

放心しながら病院を見つめていた、看護師たちと患者たちに叫ぶ。
その中の一人の看護師が、こちらを見て震えだした。

「せんせ…あ…愛ちゃんが…病院に…火をつけて…」

「…!?」

「私が気付いたときには…愛ちゃんはもう…火の中で笑っていて…私は…!」

ああああ…!と泣き崩れた看護師に、愛がそんなことをするはずがないと言うより先に、自分の体が動いていた。

愛が、まだ、中にいる。

いまさら到着した消防隊員が止めるのも聞かず、男は建物へ走り出した。




「愛!愛!!」
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