監禁恋情
一生懸命に紀一が教えた漢字を書いて覚えるさくらを眺めながら、紀一は考えていた。


彼女に勉強を教えようと思った理由は、自分がいなくなったときに、なんとか自分の力で生きていけるようになってほしいからだ。
いつまでも、誰かの元に居なければ生活できない人間でいてほしくはない。
自分の力で考え、自分で行動して生きていける人間になってほしい。


このまだ幼さを残す美しい少女が、外見以外に自分の価値を見いだせる何かを得てもらいたい。


そんな気持ちからだった。


あれから三日間。
少女は毎晩、暴れる自分を不安げな表情で見つめ、暴れ終わった自分に寄り添ってくれる。


紀一は少女にたいして、愛に感じていたのとはまた違う感情を持ちはじめていた。
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