監禁恋情
耳元で紀一の声が聞こえて、はっとした。ごく自然に、手に触れてきた紀一の体温が、まだ右手に残っていた。

顔が熱い。

さくらは先程紀一が書いた紀という字と同じくらいの大きさになるように、習ったばかりの、「一」を付け足した。

「そう、これが俺の名前。」

また、耳元で、心地良いくらいの低さと大きさの紀一の声がした。
また、鼓動が早くなる。

「…どうかしたか?」

「あぅ…なんでもないです…!」

ごまかすように微笑んで、書いた紙を紀一に見せた。

「もう、ばっちり、覚えましたよ!」

振り返ると、思ったより近くに紀一の顔があって、さらにどきんとした。

その瞬間、
くしゃっと髪を撫でられた。

「勉強、楽しいか?」

聞かれて、さくらは頷くことしかできなかった。





紀一さんに触れられるだけで、顔が熱くなる。


…この気持ちは、何?
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