監禁恋情
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さくらと紀一が出会い、1ヶ月がたった。
ある日、珍しく
紀一の部屋に訪問者があった。
ドアのカメラで、誰が来たかをさくらが確認し、それが、前にさくらに衣服を届けにきた青年だとわかると、それを紀一に報告した。
「きみが出てくれ。」
紀一がさくらに言えば、わかっていたというようにさくらは頷く。
「はい。」
ドアを開ける。
このドアに鍵はかかっていない。
出て行こうと思えば、いつでも出ていける。
しかし、さくらと紀一の二人が自らこのドアを開け、出て行くことはない。
それは、「監禁」とは言わないのかもしれない。
しかし紀一は、ここでの生活を「監禁」と表現する。
世界に、人に、紀一は閉じ込められている。
自ら殻に籠もった紀一を世界は必要としていない。自ら殻に閉じこもり、世間から閉じ込められ、紀一が、この家から本当に抜け出せる時は、その2つの殻を壊すときだと、さくらは思っている。
そんなときが、来ても来なくてもさくらは紀一の元にいよう。
自分か彼の命が、尽きるまで。