監禁恋情
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自分がその部屋を訪問すると、そこから出てきた少女は、以前と変わりないどころか、以前にも増して美しくなっていた。
なぜ、この少女が。
また、以前感じた疑問と無力感。
自分の仕える主人が、この少女にしようとしていること。
それを思って、一瞬言葉に詰まった。
「…どうしたんですか?」
柔らかく、微笑む少女。
「あっ…必要物資を届けに参りました。」
自分が持ってきた、消耗品の類の入った箱を少女に差し出す。
「ありがとうございます。…ととっ。」
箱を受け取り、か細い少女がふらつき、思わず少女を抱きとめる。
「あ…ありがとうございます。」
にこっと笑って、離れようとする少女。
離せば、この少女は
「行ってはダメだ!」
思わず、少女を抱きしめる。
「え…あの?」
「…僕と逃げませんか。僕ならあなたを、どこまでも連れて行ける。」
これは、自分の主人に逆らうことだ。
しかし、このか細く、弱そうな美しい少女をいま自分は離してはならない。
青年は、そう感じていた。
「ありがとう。」
腕の中の少女が、言った。
はっとして少女を見つめると、1ヶ月前とは違う強い瞳で、自分を見つめていることに気づいた。
「けど、ごめんなさい。」
優しく、拒まれる。
「私、あの人の傍にいたい。」
はっきりと、少女は言った。