監禁恋情
(俺が、嫌いになったのか…?)

また、首を横に振る。

「愛してます。紀一先生。誰よりも。」

(じゃあ、なんで…?)

「先生、私を許して。」

愛が、泣いている。
心が繋がったあの日のように、
俺たちは二人で涙を流す。

「私は、自分の中の狂気に勝てなかった。
あなたを愛していたのに。
あなたを一人にさせてしまった。
私があなたの桜になってしまったの。」

こんなにも、弱い少女だったのか。
動かなかった腕が、やっと動いた。
君を抱きしめることができた。
まだ、声は出ない。

(泣かないで、俺がいる。
俺はちゃんと、君が骨になっても愛したよ。)

「違う。」

愛の声が、震える。

「もう、目を背けるのはやめて。
あなたの世界を、もう一度、見て。
あなたが愛してるのは
私だけじゃないでしょう?
私と一緒にいて、
あなたは気がついたはずでしょう?」

頭が、割れるみたいに痛い。

わからない、
わからない。
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