監禁恋情
2人の食事を作っていたのは、兄の部下のはず。

食事をほとんどとっていなかった紀一からは、毒がほとんど検出されなかったからには、最初からさくらを狙ったとしか考えられない。

つまり、最初からこうして奪うつもりで、さくらを紀一の元に置いたのだ。

これが、兄のやり方か…。

紀一は、どこでもないどこかを、睨みつけた。

「さくら。」

さくらの細い手をとって、自分の頬に当てた。

「ごめん…。」

気づいてやれなくて。
君は、ちゃんと俺を見てくれていたのに。

兄がやったことならば…

俺が、けじめをつけよう。
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