天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅢ
振り向くと、名器・ストラディバリウスを手にした、すらりと背の高い美少年の姿。
前髪だけ長めのさらさら黒髪が冷たい風に揺れ、黒目がアリスカを見つめる。
「もうすぐ恋人達の季節が訪れるというのに、憂いを帯びた溜息とは切ないね、フロイライン(お嬢さん)」
気障な台詞を吐く彼は、天神学園高等部2年の橘 和音(たちばな かずね)。
制服はフリルだらけの中世貴族風。
やっているのは、どこの吟遊詩人だという弾き語りだ。
海外かどこかの美しい街の石畳なら様になるが、普通に生徒が教科書を手に移動教室に向かっている渡り廊下では、寧ろアリスカは恥ずかしい。
前髪だけ長めのさらさら黒髪が冷たい風に揺れ、黒目がアリスカを見つめる。
「もうすぐ恋人達の季節が訪れるというのに、憂いを帯びた溜息とは切ないね、フロイライン(お嬢さん)」
気障な台詞を吐く彼は、天神学園高等部2年の橘 和音(たちばな かずね)。
制服はフリルだらけの中世貴族風。
やっているのは、どこの吟遊詩人だという弾き語りだ。
海外かどこかの美しい街の石畳なら様になるが、普通に生徒が教科書を手に移動教室に向かっている渡り廊下では、寧ろアリスカは恥ずかしい。