天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅢ
風のように現れた和音は、バイオリンを弾き語りながら風のように去っていこうとする。

そんな彼に。

「待って、ちょっと訊きたい事が」

「止しておくれ可愛い女(ひと)よ~♪」

背を向けたまま、和音はしっとりと歌い上げる。

「君は愛に疲れ、瞳が涙に曇っているだけ~♪恋人の姿を見失い、僕という救いの手に縋り付きたいと思っているだけ~♪頼るのはいいけれど~♪本気で愛する事はいけないのさ~♪」

「…いや、そうじゃなくて…」

ビシッ!とツッコむアリスカ。

「…和音、休みの日もいつもそんな事やってんの?」

「趣味なのさ~ルリルリラ~♪」

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