spiral

 夢の中で自分を責める。ダメな生き方しかできてないとか何とか。

明日一緒に行くんだって決めちゃったこと、よかったのか悪かったのか。

ママに会うことにもなるかもしれないんだよね。

考えなしに言って、大丈夫だったのかな。どうしてこう、行き当たりばったりなのか。

あたしとママが会うこと、お兄ちゃんは何も思ってないの?

それに関しても何も言わずに出かけちゃったし。

(もう関心持ってもらえてないんだっけ。そういや)

またお兄ちゃんに聞いてもいないことを、自己完結してため息をつく。

夢の中が、あたしのため息で充満していそう。

早く目を覚まさなきゃ、お兄ちゃんに会えない。でも会って、何を話すの?

迷いばかりがグルグルしてる。酔いそうなほどに回ってる。

「もう、やだ」

夢の中でも現実と変わらない。夢の中くらいはわがまま言ったりできたらな。

 熱いなと思って目を覚ます。喉が渇いた。

「起きた?」

「あ」

声を出そうとして出ないことに気づく。乾いた声しか出ない。

「これ飲みなよ」

レモン入りのイオン飲料。受け取ったペットボトルに口をつける。

カラカラだった。体だけじゃなく、頭の方にまで沁みていくよう。

「熱でも出た?」

首をかしげる。そんな感じがしない。

「すこし落ち着いたらさ、話を聞いてもいいかな。ナオトと連絡つかないし」

コクンと頷き、また体を潤していく。

ギュッと握ったペットボトル。静かな部屋の空気が、やけに重たい気がした。

お兄ちゃんどうしたのかな、連絡つかないって。

明日は一緒に行っていいんだよね。だってさっきああやって話してたし。

「マナ」

凌平さんが腰かけてきたことで、ここが奥の部屋のベッドの上だと気づいた。

半身を起こすと、自然と体を支えてくれる凌平さん。

(優しいな、なんだかんだいっても)

隣り合って腰かけ、また一口。そして、やっと喉がすこし楽になった。

「凌平さん」

「んー?やっと声聞けたね」

笑いながら、また撫でられる。くすぐったい感触。でも好きだ。

「どうしたのさ。ビックリしたって、もう」

呆れたように聞かれ、昨夜の話をする。

「は?一緒に?なんでまたそんなこと」

やっぱりの反応。失敗だったよね、あたしの決断は。

「会うんだよ?マナのママに。いいの?」

ほら、これもだ。
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