spiral
生きてるだけ。生きたいだけ。それすら許されないことの虚しさ。
私はどうして生まれたのかと思い、早く死んでしまいたかった。
母に、悔しいという思いを伝えたかったけど、それも出来ずに死ぬんだって思いました」
すこしだけ深呼吸。あと少しだけ頑張れと、自分を励ます。
みんなの方を見ると、お父さんの顔が見えた。心配そうな顔。あとで謝らなきゃって思えた。
「何度も目が覚めて、まだ生きてるって気づいて、いろんなことを考える時間だけがあって。
子供がいる生活って、そんなに辛いの?って母を哀れんでいる自分もいました。
死にかけている原因なのに、それでも……最後の一線が越えられなかった。
母は、何があっても私の母なんだということ。それだけは、変えられなかった」
そうなんだ。ママ。ママはずっとあたしのママなんだよと言いたいだけなんだ。
痛いよ。もう、自力じゃ立っていられない。でも……、でも、最後まで言わなきゃ、ダメだ。
「母が私を生み、妹のことがあって、痛みを抱えながら生きて。
傷ついて、新しい出会いの中にもいろんな痛みや初めてのことがあって。
見たことがないものを見て、触れる勇気を持って、そして……繋がっていく先に、私を愛してくれる人がいました。
どんな痛みも抱えていく先に、自分が生かされてきた理由がありました。
どの出逢いにも、無駄なものは何一つなかった。絆というには、まだ細くて脆いかもしれない。
……けど、その先にもまた何かと出会えるかもしれない。
そう、期待したい自分が芽吹き、育ち始めて、生きていくことは悪いことじゃないと思えるようになりました。
どんな親でも断てない気持ちも抱えて、そのまま育っていくことが出来るならば、またそこで何かを変えられるかもしれない。
母が言うように、同じことを繰り返しそうになっても、周りに話す勇気を私が持てば、そこで繰り返しを断つことが出来ると……ただ信じて。
大事な人たちと手をつないで、一緒に笑って生きたいと思います」
さっき心さんがしていたように、自分の手のひらをみつめる。
小さなこの手をつかみ返してくれる人たちと変わっていこうと思える自分に変われた。
それは、あのひとりぼっちの夜を過ごしてたあたしと比べると、大きな変化だ。