spiral
静かな部屋で、薬が効いたのか気持ちよさげに眠るアキの寝息だけが聞こえる。
あたしはその横で、宿題をしていた。
いつ眠ったんだろう。
宿題をしつつ、時々熱を測ったりしてたはず。
「うぅぅー、あぁーん。……げほっ」
アキが激しく泣いていた。
布団の上には、吐いたものがこぼれていた。
「アキ……」
吐いた時のお世話はしたことがなかった。
オロオロし、とにかくママにと連絡をする。
携帯電話にかけても出ない。仕方なくお店に電話をして呼んでもらう。
「接客中って言ってるでしょ!」
こっちの事情も聞かず、数秒で電話は終わった。
「パパに電話してみよう」
その場にいるはずのパパに連絡してみると、数回目のコールで出たけれど、
「飲みに出てるって知ってるよな?」
ママと同じで、数秒で終わった。
茫然とした。カクンと床に膝をつき、そのまま振り返る。
激しく吐き続けるその姿は、とても怖く感じられた。
それでも何もしないわけにはいかない。
大事な妹。助けてあげたい一心で、手を伸ばした。抱きしめるために……。
「いたっ」
パチンと弾かれた手。
アキには悪意なんかあるはずがない。
とにかく具合が悪くて、機嫌が悪いだけ。
なのに、すごく拒絶されたみたいで、涙が溢れてきた。
「お姉ちゃんのこと、嫌い?アキ……」
(助けて!誰か!)
心の中で叫んでも、その声に気づくはずがない。
隣の人と仲がいいわけでもない。ましてや、人見知りが激しい自分。
(助けて)
心の中で繰り返し叫ぶしか出来ずに、時間だけが過ぎていった。
やがて、アキは泣き疲れたかのように、クタリとして眠ってしまった。
「アキ?」
泣きやんだことにホッとして、アキに近づく。
「……アキ?」
泣きやんだんじゃなかった。
「アキ?」
薄く目を開き、どこかを見つめているような表情で、2歳のアキが死んでいた。
あたしはその横で、宿題をしていた。
いつ眠ったんだろう。
宿題をしつつ、時々熱を測ったりしてたはず。
「うぅぅー、あぁーん。……げほっ」
アキが激しく泣いていた。
布団の上には、吐いたものがこぼれていた。
「アキ……」
吐いた時のお世話はしたことがなかった。
オロオロし、とにかくママにと連絡をする。
携帯電話にかけても出ない。仕方なくお店に電話をして呼んでもらう。
「接客中って言ってるでしょ!」
こっちの事情も聞かず、数秒で電話は終わった。
「パパに電話してみよう」
その場にいるはずのパパに連絡してみると、数回目のコールで出たけれど、
「飲みに出てるって知ってるよな?」
ママと同じで、数秒で終わった。
茫然とした。カクンと床に膝をつき、そのまま振り返る。
激しく吐き続けるその姿は、とても怖く感じられた。
それでも何もしないわけにはいかない。
大事な妹。助けてあげたい一心で、手を伸ばした。抱きしめるために……。
「いたっ」
パチンと弾かれた手。
アキには悪意なんかあるはずがない。
とにかく具合が悪くて、機嫌が悪いだけ。
なのに、すごく拒絶されたみたいで、涙が溢れてきた。
「お姉ちゃんのこと、嫌い?アキ……」
(助けて!誰か!)
心の中で叫んでも、その声に気づくはずがない。
隣の人と仲がいいわけでもない。ましてや、人見知りが激しい自分。
(助けて)
心の中で繰り返し叫ぶしか出来ずに、時間だけが過ぎていった。
やがて、アキは泣き疲れたかのように、クタリとして眠ってしまった。
「アキ?」
泣きやんだことにホッとして、アキに近づく。
「……アキ?」
泣きやんだんじゃなかった。
「アキ?」
薄く目を開き、どこかを見つめているような表情で、2歳のアキが死んでいた。