spiral
ゴロンとラグを敷き、その上に買ってきた物を広げる。
うんうんいいながら、カバーに布団を収める。
まっ白な布団が、可愛い布団になった。
胸の前でギュッと手を握る。
もう緊張感はなく、高揚感のみ。
ラグで寝転んでみたり、ベッドに腰かけてみたり。
カラーボックスに何を入れようか想像したり。
自分の部屋なんかもらえなかった時、紙に書いたことがある。
夢の部屋。
「あとはパジャマに着替えてー」
ベッドにボスンと腰かけて、パジャマを袋から出した。
「可愛いなぁ」
自分にあててみたり、高く掲げてパジャマを見たり。
「自分で働けるようになったら、ルームシューズなんかもいいなぁ」
独りごと。しかも普通のボリュームより、興奮してるだけに大きめ。
「うわぁ、今日眠れるのかな」
パジャマを抱いてベッドに寝転がった時、視線を感じた。
「ん?」
部屋の入り口。そこに二人が立って、ドアにもたれかかるようにして見てた。
何時から見られてたのか、わからない。
血の気が引いて、それからすぐに真っ赤になった。
「きゃあーっ」
二人に背中を向けるようにベッドに寝転がる。
恥ずかしくて、まともに見られないよ。
てっきりお兄ちゃんあたりが冷やかすんだと思って、耳を塞いだ。
すると、片手だけをソッと外されて、
「腹減った。飯食うぞ」
と囁き、お兄ちゃんはまたリビングへと戻っていった。
あたしの盛大な独りごとには、一切触れず。
気まずい思いをしながら、リビングを覗くと、
「遅ぇ!」
短いその一言で怒られた。
怒られたのに、気まずかったはずなのに、それが今は何もなくなってた。
あの冷たい部屋で味わうことがなかったいろんな感覚。
「ごめんなさい」
不思議とね、笑って謝ってた。
それでも許してくれるって、どこかで思えたから。