光の射す方へ
『もしもし!?』

『お兄ちゃんだけど…』

すぐに内容を理解できる程私は大人ではなかった。

とにかく兄は仕事を辞め暴力団に入った。色んなことをしているうちに足を洗いたくなり言い出したら、今、軟禁状態だと言う。
そして今、監視が寝ている間に歩いて近くまで来たと言う。


『とにかく今は夜勤中やからムリ。明日の朝まで自分で何とかして!』

私は迷った。今まで父親がわりに私に一生懸命尽くしてくれた兄だ。助けるのは当たり前だろう。
しかし、私は今幸せに普通にやっている。順調な毎日を送っている。今ここで手を差し伸べれば…

仕事は気丈にやった。


ーねぇアズサちゃん、この日から私たちはまた連絡を取らなくなったね。というより、私から一方的に連絡を切ったね。ゴメン。私もバカだからこの迷いをアズサちゃんにぶつければよかった。そしたらもっと違う人生だったかな?もっと
〈光の射す方へ〉向かえたのかな。ー
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