光の射す方へ
色付き始めた世界
ある日学校で一怖い中西先生に呼び出された。
「最近どうしたんだ?何か顔つきが変わってきたぞ」
そう言って何か封筒を手渡された。

ー介護ボランティアのお知らせー

15歳、私は早く自立する方法を考えていた。
もちろん中学を卒業し、このまま働いくのが今の私にとったら自然な流れなのかもしれない。しかし、それでは私の中で「普通」ではないのではないか…

高校くらい出ておいたほうがいな、でも高校を卒業したら…

そんなことを考えていた矢先に介護ボランティア。興味深かった。そして行ってみた。

私の居場所がここにあるのではないか…

「介護福祉士」最年少でとれる国家試験だ。高校を卒業したら受験資格がもらえる。

私は「これだ!」と思った。裏でこそ暗いが、学校では明るく元気なアヤだ。向いているだろう。
私は該当する学校を調べ、進学を決めた。


そうと決意すれば早かった。私は夜な夜な連んでいた連中とスッパリ縁を切った。


それでも成績が足りなかった。幼少期より、家事と遊びを繰り返していた私には学業とやらが極端に欠けていた。

諦めなかった。今の私に諦めなどという言葉は浮かびもしない。

「やるしかない!」
「やってやる!」

みんなが受験対策に必死な最中、私はローマ字の勉強から始めていた…

そんな私を友達とやらは応援してくれた。後押ししてくれた。

自分のゴールを見失い、どこに向かっていけばいいのかー
そんな自己中心的な考えが恥ずかしくなった。ほんの少し足元を見てみればたくさんの人たち。私はみんなに支えられていたのだ。

その世界は灰色なんかじゃない、確実に色付き始めた世界だった。

私は灰色の世界を生きていたのではない。自分が勝手に灰色にしていたのだ。
< 7 / 23 >

この作品をシェア

pagetop