俺はその時、どう行動するか。
「はは、それは悪い噂じゃないのかな?」



俺は澪を少し馬鹿にされたようで、はにかんだ。



「え、全然違いますよ!女の世界はドロドロしてますから、お嬢様が似合うなんてまず言われないですよ」


綾音は手をバタバタさせながら必死に弁解している。


その表情から、どうやら本当に誉め言葉だったようだ。



「北海道に着いたらすぐ西条寺さんが迎えに来てくれるんですか?」


「いや、あいつは母親と一緒に当日までは高級リゾートに泊まるから…明日の朝までは別行動だよ」



澪の両親は経済的余裕はあるが今回援助は一切受けていない。


俺が澪の夢を叶えてやりたかったし、それが俺なりのプライドだった。



「俺はひとりで『ホテル白熊』ってとこ予約してるよ」


「え?」



俺の言葉に綾音はなぜか目を丸くさせた。


「ホテル白熊って…私も今夜そこに泊まるんです」


「え、そうなの??」



度重なる偶然に、今度は俺が目を丸くさせる番だった。


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