俺はその時、どう行動するか。

「本当にごめんなさい…私…あの…ただすごく怖くてっ」


「いや、うん、わかるよ。大丈夫だから気にしないで。

…なんなら手だけなら貸しますよ？」



こういう展開に不慣れな俺は、気恥ずかしさを誤魔化すように笑い、冗談で右手を差し出した。


こんなことくらいで動揺してると思われたら、大の男がダサすぎる…！


そんな小さな男だと思われたくない俺は余裕を演じながら笑い続ける。





綾音は触れてしまった手を恥ずかしそうに胸のところでモジモジさせていたが、


上目遣いで俺を見ると、申し訳なさそうに言った。




「ありがとう…悠人さん」





……え？


そして綾音は長いまつ毛を躊躇いがちに伏せながら、そっと、俺の手をもう一度握ってきた。



「！」


「…優しいんですね…」


「！！」