俺はその時、どう行動するか。
伏し目がちな綾音の長いまつ毛が揺れ、細い肩が震えている。





「悠人さんの事が好き…」






震える綾音の声に、俺の心が揺さぶられる。


俺の心臓はバクバクと音を立てていた。



澪の悲しんだ顔が頭の中をずっとちらついていながらも、それでも綾音を拒めない俺がいる。






「悠人さんは私のこと…どう思いますか？」



「あ…やね」



「まるで出会ってもなかったように、明日から他人に戻れますか？」



「いや、綾音、ちょっと待って…」



「私はもう無理です…」





上目遣いな綾音の瞳から、涙がこぼれ白い頬を伝い流れる。


ギュッと掴まれた服の裾からも綾音の必死さが伝わってくるようだ。





「好きです…」





綾音の涙と濡れた唇が、俺の気持ちを惑わす。







「キス…して下さい…」






綾音からその言葉を聞いた時、俺はもう我慢の限界だった。


綾音と他人に戻ることは俺にももはや考えられない。


それくらい俺たちは惹かれあってしまったんだ…。










そして気付くと俺は綾音の肩を抱き寄せ唇を重ねていた。











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