俺はその時、どう行動するか。
ロッジが見える所まで帰ってくると、暗い雪の中でロッジの前に立つ人影が見えた。







………え?


綾音は既に寝ているはず。






しかし俺が駆け寄ると、やはりそれは綾音の姿だった。


パジャマにコートを羽織った綾音が、両手に息を吹きかける姿勢でロッジの前にたたずんでいる。




「あ、綾音?!なんで外にいるんだよ!」


俺は慌てて綾音の前まで駆け寄る。


「いつからいたの?風邪ひくじゃないか!」


そのまま暖めるように綾音の両手を取ると、その手は氷のように冷たかった。






「…ゆ…悠人さ…ん」


「!?」






俺を見つめた綾音は…


…泣いていた。








「と…とにかく中へ入ろう!」


俺は綾音の肩を抱くと急いでロッジに入った。


そして手探りで電気を付けると暖炉へ向かう。



「今、部屋を暖めるからね…ちょっと待ってなよ!」


俺は暖炉の前にしゃがみこむと、新しい薪を入れて火をつけようとする。


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