俺はその時、どう行動するか。
「もうっ、謝って欲しいんじゃないのに、貴方って本当に女心の分からない方ね!」




澪はついにプイと背を向けてしまった。



その後会計を済ませ、澪に腕を組まれながら引き連られるようにしてフロントを後にする時




「相良さま」



ふいに麻生さんの声がして、俺と澪は振り返る。


麻生さんはいつもと変わらぬ笑顔で俺たちを見つめていた。




「良い一日をお過ごしください」



穏やかな麻生さんの笑顔に、なんだかたった1日ではあったが、とても幸せな時間を過ごせていたんだなと感じた。


麻生さんの向かいには、綾音の小さな背中が見える。


結局、澪がきてから綾音の顔は見ることは出来なかった。


そしてもう二度と…





「…ありがとう、さよなら」




俺は自分を押し殺し、麻生さんに…そして綾音に別れを告げた。




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