俺はその時、どう行動するか。
「…………」



俺は力なくフラフラと暖炉の前まで歩くと、またそこへ座った。



「だ、大丈夫ですよ…!きっと見付かります」


「…ありがとう」



だけど俺は予感していた。


ホテル白熊はスキー場から一番離れているため、あまり人気ではないはず…。


この辺りで他のホテルと言ったら、全てスキー場の近くにある。


このホテル白熊が満室なんだ。


スキーシーズン真っ只中なのに、他の人気ホテルに空き部屋があるとは思えなかった…。





そして数分後――…


俺の予想通り、従業員の男は申し訳ない顔でこちらへ歩いてきた。




「相良さま…誠に残念なのですが…」


「…………」





あ――…

本当に今日は一体どうして…


俺はそのまま力尽きたように頭をうなだれた。


いや…、そんなことより今夜をどうやり過ごすかだよな。


俺は頭を上げると従業員に聞いてみる。



「すいませんが…今夜、この暖炉の前で過ごすことって可能ですか?」


あまり広くないフロントの一番奥にある暖炉と小さなソファー。


客が来るたびに目に入る場所だし、ものすごく迷惑…だよな…。


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