俺はその時、どう行動するか。
「や…ごめん。バタバタしてて…」


『北海道には無事着きましたの?いつまでも連絡が来ないから心配しましたのよ!』



澪の言葉にギクッとしつつ、それが声に出ないよう平常心を保つ。



「あ、あぁ。さっき無事に着いたよ……澪も楽しんでる?」


『あら、わたくし?もちろんですわよ!今日はキタキツネを見てきましたのよ。それでお母様ったら間違えてルールル…』




どうやらなにも怪しまれなかったようだ。


いつものようにペラペラと話だす澪にホッとする俺。



『ちょっと聞いてますの?』


「ん?ああ、聞いてるよ」



俺は安心から一息ついてバルコニーの柵に背をもたれるように体制を変えた。




しかしその瞬間


――ゴトッ!


俺の手から携帯がスルリと落ちた。


雪が積もったバルコニーに落ちてしまった携帯からは、澪の声が漏れている。



だけど…

俺はそれを拾うことも出来ず、完全に身体が硬直してしまっていた。




なぜなら…


バルコニーから見たロッジの中では、綾音が服を脱ぎ始めていたからだ。


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