俺はその時、どう行動するか。
「あ、それが実はさっき会社から連絡があって、今から支店に向かわないといけなくなっちゃいました…」



綾音はてきぱきと身の回りの用意を始めている。



「明日届ける予定だった書類がどうしても今日必要になったらしくて…。多分届けるだけですから2~3時間で戻って来れると思いますけど…」



「へぇ…そりゃ大変だなぁ。吹雪はもう今はおさまってるけど、大丈夫?」



「大丈夫ですよ。仕事だからまぁ、仕方ないですよね。
あ、今度はちゃんと車で送迎してもらうのでご心配なく」



準備の整った綾音は、俺を見て凍えそうな仕草をしながらいたずらに笑った。


そんな仕草と表情がまた可愛くて、

先ほど無断で裸を見てしまったことを俺は心の中で謝った。



「悠人さんがお風呂に入ってる間に行っちゃうので、のんびりしててください」


「…ん、わかった。気をつけてね」



きっとこれは神が与えてくれた時間に違いない。


綾音と離れている間に頭をシャキッとさせなければ…。



俺は綾音に別れを告げるとそのまま風呂へ向かった。



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