俺はその時、どう行動するか。
包丁を洗った綾音は、手馴れた感じでザクザクと白菜を切っていく。



「あ、紅鮭も安かったんで買って来たんですけど、一緒に入れちゃいますね。魚、大丈夫です?」



野菜を切りながら、綾音のみずみずしいピンク色の唇が動く。



「やっぱり悠人さん、お肉の方が良かったですかねぇ?」


「…………」


「悠人さん?」



ふいに綾音がこちらを向いて、

ぼんやり綾音を見つめていた俺はハッとしてベッドから飛び跳ねた。



「ご、ごめん!聞いてなかった!なに?」



必要以上に慌てる俺に綾音はキョトンと首を傾げる。



「あ、いえ…鮭を買ったんですけどお肉がなくて…悠人さんお肉の方が良かったかなぁって…」


「肉?や、そんなことないよ!もちろん肉も好きだけど…鮭も旨そうだよね!カ、カニもあるし」



俺は両手をハサミの形にしてカニの真似をした。



ア、アホか俺は。




「てかごめん、やらせっぱなしで。俺も手伝うよ」


見とれていたことを感付かれないように俺はベッドから立ち上がると、キッチンの綾音の横に並んだ。


今あのラーメン屋の大将がいたらまた突っ込まれてたな…。



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