俺はその時、どう行動するか。
「ゆっ…悠人さんってお料理はできるんですか?」


「え?や、上手くはないけど一応一人暮らしだし最低限死なない程度には……綾音は料理よくするの?」


「ふふ。私も一人暮らしですから死なない程度には」



綾音は白菜を切り終えるとそれを鍋の端に敷き詰めた。


死なない程度って言うよりは料理人レベルの手際の良さだなぁ…。



そういや澪とはこんな風に一緒に料理をしたことがなかったっけ。


澪とは俺の部屋に泊まる時もテイクアウトか外食がメインで…


多分澪の場合は常に専属の料理人が家にいるから、包丁すら握ったことがないんじゃないかと思う。




「悠人さん、スープ味見してくれませんか?」


「あ、はいはい」



綾音に差し出された小皿で味噌鍋のスープを飲むと、めちゃくちゃ旨かった。



「…これめちゃ美味いよ」



俺の言葉に綾音は嬉しそうに笑う。


その笑顔を見て俺も嬉しくなった。


こういう感情って何ていうんだろ。



きっと理想の新婚夫婦って…
こういう感じなのかな。



そうこうしているうちにも綾音の活躍で30分もしない内に立派な味噌鍋が完成した。

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