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『茉莉果……私は、あなたの為に叱っているのよ? これも愛情なの』
雨の音に混じりおばあ様の言葉が思い出される。
お父様とお母様は、いつも優しくて私を叱るなんて事は一度もしなかった。
壊れ物を扱うように……そんなふうに私に接してくる。
躾や教育は全ておばあ様から受けてきた。
作法に挨拶、それから姿勢と紫音家の一員としての誇りを持つこと。
使用人の扱い方なんかも、おばあ様直伝よ。
体調が優れなくなり病院に入院するまで、おばあ様はいつも私の側にして色々な事を教えてくれていたわ。
私はおばあ様が大好きだった。
それを柏原だけはよく知っているはずなのに……