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「お寂しいですか?」

陽子さんは両親の作り出す音楽の世界に心底惚れ込んでいるのだ。

私なんかより、ずっと……




「紫音御夫妻の素晴らしい音楽は、世界中の方々に感じていただきたいと日々考えて努めおります」


「わかってるわよ!」


音楽なんて嫌いよ。
ヴァイオリンも全然上手に弾けないもの。



みんな……大嫌い……



「茉莉果様」



陽子さんの話なんて聞きたくない!
耳を塞ぐと、柏原の作ってくれたケーキのるお皿を持って足早に自分の部屋へと逃げ込む。


柏原がいないと私は仲間外れにされているみたい。



紫音家の音楽に、私の居場所なんて無い。

どこにもないんだ……





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