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「どのような手段で、その様な事を行えばよろしいのか……皆目検討もつきません」
柏原は、鋭い眼差しで即答する。
「睡眠薬とか持ってないの?」
「そんな物騒な物を、執事が持ち歩いていません」
「チッ」
常々使えない執事だ。
柏原なら涼しい顔して、その漆黒の燕尾服の下から猛毒の薬物を潜めていそうだから、睡眠薬なんて当然持っているのかと思ったわよ。
「お嬢様! 舌打ちはお止めくださるよう何度も申しております。次になさったらお仕置きを考えさせていただきます」
お仕置き?
そんな事考えてる余裕があるなら睡眠薬を持ち歩きなさい!
睡眠薬を!
「逆に……本日素敵な演奏と振る舞いをされたのなら、ご褒美を差し上げましょう」
執事は、黒髪を揺らし甘く囁く。
うわ、またその表情……
「何でもいいの?」
「貴女のお望みなら……」
「屁理屈言って逃げない? いつも柏原はそうやって誤魔化すから」
「少々心外ですが……約束は守りましょう」
柏原が約束を破ったことなんてない。
「紫音代表、出番です。壇上へどうぞ」