SWeeT†YeN
広大な学園に集まった令嬢たち。
私って彼女たちから羨ましがられてるのよね。
でもね、全然幸せじゃないのよね……
────昨日は音楽祭だったから、という 理由で授業時間が短い。
午前中で授業が終わり、すぐ帰宅の時間になった。
虚しくて惨めな気持ちで、帰り支度する。
ううん、自分でやるわけじゃなくて、楽器店の社長令嬢にさせている。
うちはお得意様だから、彼女荷物も運んでくださるのよ。
「さようなら、紫音代表」
「ごきげんよう」
モヤモヤとしながら、大きな校門の前に待つ漆黒燕尾服姿の美しい笑顔の執事へと歩み寄った。