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「ご心配なさらずに。私の足で二十分足らずの道のりでございます。お嬢様でも一時間以内には邸宅に到着できるでしょう」
「いっ……一時間?」
何故、私がそんなに酷い仕打ちを受けないとならないのぉ!
「さぁ参りましょう」
柏原が軽く肩に手を添え"歩け"と促すから、重い足をあげる。
「私を殺す気なのね柏原」
ついに本性をあらわしたのね?
私を歩かせて、殺して魂を食べるのよ。
「このように、簡単な事でお亡くなりになられては困ります。貴女は大切な紫音家のお嬢様でございます」
大切ならこんなに過酷な試練を与えないのが普通だ。
暗黒執事柏原は道案内をするかのように、私の一歩前を歩いてゆく。
「先日、旦那様と貴女の教育方針について色々と談義させていただきました」
「ひょっとしてプロジェクターMってやつ?」
皆で会食した時に柏原と父でそんな話をしていたっけ
実はそれ以来、その言葉がすごく気になっていたんだ。
「お嬢様……プロジェクトMでございます。そんな名前どうでもよろしい事でございますが」
柏原は軽く後ろを振り返り、綺麗な瞳を少し細めた。