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「お嬢様の目の前にございますのが、自動販売機です」
目の前?
よく見ると、怪しくピカパカと光る謎の機械がそびえ立つ。
「妖怪ピカパカ?」
「断じて違います。こちらは自動販売機という……」
「わかったわよ。わかってるわよ……大丈夫!」
思い出したわ!
祖母が亡くなる直前に『茉莉果、電車というものに乗ってみよう』と言い出し、二人で電車に乗った事がある。
その時、切符というものを買う為に……これと同じようなマシーンを見たし実際切符を買った事もある。
確か、お金が吸い込まれていく部分があって……
私は自分の財布から一万円札を取り出すと、恐る恐るピカパカに近づけた。
吸い込め~
吸い込め~
念力を送りながら、ピカパカが一万円を吸い込むのを待った。