SWeeT†YeN


エレベーターのランプが、静かに点灯して十七階に到着した。


「ちょっと……待ってよ……」



その場に硬直して、中々降りる事ができない私。

またランプが点灯して扉が閉まりそうになるから、慌てて十七階に降り立つ。



「『私のベアトリーチェ』って事は……『私が初めて恋した女性』って意味?」


それか……『私のレストラン』か『私のカフェ』か『私のお菓子』って意味よね?

難しいわ、柏原。


私は、この意味を直接貴方から聞いてもいいのかしら……



不安。



「でも……せっかくここまで、屋敷から歩いて来た事を無駄にはできないわ」


私は、明るいブラウンに統一された扉に金色のエンブレムに記入された部屋番号をたどる。


『1703』目的の数字を探し出すのに更に十歩も歩いた。


「ここかな?」


表札も何もない部屋の前で、首を捻るけど……間違ってたら、出てきた人に柏原を探させればいいわ。

私は、気軽な気持ちで呼び鈴をならしてみた。



< 189 / 554 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop