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「お嬢様……、良からぬ事をお考えですね……」
「いいから中に入れなさい。執事たるもの、客人をいつまでこんな場所に立たせておくの?」
冷静に言い放つ。
そうよ。執事のセクシーな胸元にやられて、冷静さを失ってしまっては主人としての品位と威厳を問われてしまう。
「その件につきましては、明日にでも退職願いを持参いたします」
「許さないわよ。口論になったぐらいで、私はあなた以外の執事を雇うつもりはない」
「ならば、お一人で余生をお楽しみください。私にはもう貴女は無理です」
きっと、何十年も拷問に耐えた囚人なら今の柏原と同じような目をするのだろうか?
憐れみをもって接するしかできないような……凍てついた視線。
何故、私が無理なのよ?