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執事様と迎えた朝は
「────おはようございます。お嬢様」
ゆっくり覚醒する意識。
朝?
そこは、いつもの私の部屋だった。
「おはよう……柏原」
そういえば昨夜は……
もう一度目を閉じて、脳が働き出すのを待つ。
すると、ちょんと控え目に、なにかが唇に触れた。
重い瞼が開く。ドレープがふんだんに使われた重厚なカーテンは、まだ閉じたままだ。
それを開くのは、燕尾服を着た執事の役目だ。
「柏原」
「お呼びでございますか? お嬢様」
ギシッとベッドのスプリングが沈みこみ、執事の声が耳元で聞こえる。
それから、暖かい胸の中に抱き入れられた。
「執事の分際で主人と同じ寝具を使うって……どういう神経してるの?」
「申し訳ございません」
黒い艶やかな髪
彫刻のような綺麗な顔
私に至福を与えてくれた殺人的な唇
吐息のかかる至近距離に、整い過ぎて芸術作品のような私の執事がいる。