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────そして、柏原は執事として紫音家の戻ってきた。




柏原は、元気よく働いてくれている。

不治の病には見えないわ。



気遣い、細やかな配慮、ついでに料理の腕前、どれをとっても『一流』と称して間違いがない、私の大切な執事だ。



だけど、どこか威圧的でたまに上から目線な脅威を兼ね揃えた執事でもある。











────今日は軽快な音楽が屋敷に流れている。


ワン、ツー、スリー…
ワン、ツー、スリー…

三拍子のリズムはスピーカーから聴こえている。



「ワルツ」と総称されるこのリズムは、私をウキウキとした気分にさせてくれるのよ。


「柏原! 学園のパーティーの練習よ。代表である私が恥をかくわけにいかないのよ」


執事の制服燕尾服に着替えた柏原。
眉間にシワを寄せ、小さなため息を吐いている。


「お嬢様。お怪我だけは、なさらぬように」


「何よ! それじゃ、まるで私が鈍いみたいじゃなっ……っ!」

威勢よく、言い返してみるけどフカフカの絨毯に足をとられてしまった!?


危なっ!
倒れるっ――……!




衝撃に備えて、グッと力を入れた体がフワリと柔らかく暖かい胸に抱き止められた。






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