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「この曲なんて曲だったかしら?」

私はさっきから気になっていた質問を執事に投げ掛けた。


柏原は芸術的な顔を歪ませた。


「お嬢様こんな有名な曲をご存知ないとは心外です。チャイコフスキー胡桃割り人形『花のワルツ』でございます」


「あー! そうだよね? よかったわ、思い出せて」


別に知らなかった訳じゃないのよ?
こんな有名な曲


ただちょっと忘れてしまう事は誰にでもあるでしょ?


「この曲はグラン・パ・ド・ドゥの直前に用いられる、優雅なワルツです」


「知ってるわ、胡桃割り人形は何度も見たことあるもの……そうだ! 今度の休日はウィーンにバレエでも一緒に見に行かない?」


私はステップ止め
柏原に提案をする。


正直ちょっと疲れてきたところだ。これ以上踊ると筋肉痛になってしまうから、止めるなら今だ! と柏原の手を放した。




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