SWeeT†YeN


「今夜の夕食は、チーズ入りオムライスでございますよ……」


ボソボソと唇を動かさず、私にしか聞こえないような小さな声で喋る柏原。


オムライス!

一瞬で自分の口角が引き上がっていくのを感じた。


オムライスと聞いて笑えない人間がいるなら、見てみたいものだ!




「茉莉果さん、ご両親が関わった映画の感想をお願いします」


マイクを向けられると、カメラがジィーッと私を凝視して辺りが耳を澄ませる。


「父と母の音楽は……」


何を言おうかしら?
何も考えずに、喋り出してしまった。


「素晴らしいです。尊敬しています」


おーっと、感嘆の声とフラッシュが光る。





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