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「そういう問題じゃない」と舌打ちした柏原。
「言葉使いに気を付けなさい」と睨みつける。
すると彼は、「申し訳ございません、行って参ります」頭を下げた。
フロントロビー近くにある、ダイニングカフェはこの時間は待ち合わせなどに使われているみたいだ。
アールヌーボーのお洒落な装飾に包まれて、運ばれてきた紅茶を一口いただく。
「うん、美味しい」
アールグレイティーだ。
ベルガモットの風味が口に広がり、落ち着いた気分になる。
私は、こういう柑橘系のフレーバーティーが大好き。
もちろん、一番好きなのは柏原がいれてくれたのだけど……ここのは中々いい!
「紫音……茉莉果ちゃん?」
「ええ」
美味しい紅茶にご機嫌の私に、隣の席に一人で座っていた男に、突然名前を呼ばれた。
誰かしら?
年は同じくらいね。
服装は上品で申し分ない。
どちらかというと三枚目の印象だけど、顔は悪くない。
「あれ? 覚えてない? 中等部で一緒だった、西原竜司だよ!」
「りゅーじ……?」