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ヨットハーバーにドーンと停っていた船が動き出す。
張られた分厚い絨毯や内装は全て青で統一されている。
装備品は、木の素材のもので統一されている。
いいセンスね。
だけど……コアラがどうやってこんな船を手に入れたのかしら?
操縦士と使用人まで雇っているようだし、料理人まで船に乗り込んでいたわ。
船内の左右に備え付けられたソファに座るとガトーショコラが運ばれてきた。私の隣には、楽しそうなコアラの竜司が座った。
白いポロシャツが良く似合う。
まるで、どっかの御曹司みたいね。
コアラなのに!
「今日は、天気もいいし、風も少ないから絶好のクルージング日和だよ。茉莉果ちゃん」
「そうね。イルカに会えるといいわ」
以前柏原にお願いして、お父様たちに内緒でイルカウオッチングへ連れて行ってもらったことがある。
観光用の小さな船で、少し沖合に出ただけでイルカの群れがやってきた。
キラキラ光る何頭ものイルカが、半円を描くように海面でジャンプをしていたっけ。
本当に、可愛かった。
可愛かったけど……
「お嬢様、酔い止めでございます。多目の水でお飲みください。船と海を汚さないためにも」
「ありがとう、柏原」
あの時は、イルカに向かって食べていたサンドイッチをリバースしてしまったよね?
柏原