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竜司は、壊れ物を扱うかのように恐る恐る私の頬に手を添えた。
大胆なわりに、手が震えている。


柏原ならこんな事くらい、余裕で仕掛けてくるわよ?




「柏原、竜司を追い出して」


「かしこまりました、お嬢様」




クスクスと笑いながら、背筋がゾクゾクするような艶やかな執事が竜司の背後にまわる。



「申し訳ございません。竜司様、主の命令でございます」


「っ? 痛い! イタタタッ! この使用人ごときが僕に何をする!」


「あなた様の使用人ではございませんので」



柏原は、竜司の腕を掴むと一気に背中に捻り上げる。


「いあたたたったあ!」


それから、そのまま私の部屋の出口に向かわせた。




あれ?

私、何故竜司からの抱きしめられてもなんとも思わなかった……


柏原からはキスも簡単に受け入れて、ドキドキが止まらなくなるのに


不思議……。

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