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お嬢様のお悩み
柏原……
もう、全身の力が入らないわ。やっぱり柏原のキスは殺人的。
私、このままキスされていたら天国にいっちゃうかもしれない。
「ねぇ? 柏原、身の破滅ってどういう意味? 死んじゃうってこと?」
キスで熱っぽい唇がわずらわしい。
「そのような意味ではございません。本当に貴女は何も知らないのですね。穢れなきお嬢様、先日私が血を吐く思いで貴女の純潔をお守りしたのに」
柏原は、いつもそうやって曖昧な事を言うのよね。
「あら、そう。ありがとう」
その言葉で、柏原は給仕用の白い手袋を脱ぎ捨てた。
荒々しく乱暴に脱ぎ捨てられたソレは、床に落ちた。
綺麗な指が、私の唇をなぞり首から胸元に降りてゆく…………
「本当に何もわかっていない……」
獲物を捕えた猛獣みたいな執事が、ちょっと恐い。
「貴女のこの体に、どれ程の価値があるのかをご存じですか? 紫音家のご令嬢ともある方が婚約の際に純潔でないと相手方に知れたら、その話破談になるかもしれません」
柏原はクスッと笑い声をあげると、私のワンピースに手をかけた。
「ぎゃーっ!」
何!?
なななななにっ!?
何するのよっ!?
「うぎゃーっ!!」
柏原は、私の悲鳴と共に着ていた服をはぎ取っていく。
「待って! やめて!」
いくらなんでも全部はダメよ!
「お嬢様……そのような恥じらう姿は、大変結構でございますが。その様な悲鳴は、女性らしさ……品行方正に欠けております」
そっ……
そんな冷静な判断されても……
こんな格好を、こんな明るい部屋で執事に見られるなんて嫌だわ!
ブランケットを巻きつけて執事を恨んだ。
それでも、私の執事は余裕の表情。