SWeeT†YeN
────困ったわ。
執事って一体何なのよ。
いつでも手を差し伸べて、なんでも言う事を聞いてくれる存在?
でも、柏原はそれとはちょっと違うような気がする。
「いってらっしゃいませ、お嬢様」
「柏原……まだ体調が悪いわ」
学園の正門で、執事に見送られる。
いつものことだ。
差し出された通学鞄を受け取りながら私は暗い表情を作る。
「そうですか? 顔色もよろしいようですし、今朝の朝食はしっかりと召し上がられておりましたよ。お嬢様」
「チッ……」
「舌打ちは、おやめください!」
だって、今朝の朝食は私の大好きな紅茶のマフィンだったからよ。
「茉莉果様、今日は卒業式でございます。確りとお世話になった先輩方を送り出すべきです」
それが、嫌なのよ……
私は紫音茉莉果だ。
この学園で二年生なのに、生徒の総代表を勤めているの。
だから、在校生代表の挨拶までを任されているの。
私とってもあがり症なのよ!
繊細な神経してるんだから!