SWeeT†YeN
そういえばミートパイ
一つしかないじゃない?
さすがの私も、コアラ相手に餌をお預けするなんて真似できないわよ。
「竜司、これ食べる?」
「えっ……いいっ……いいの?」
「私、食べちゃったけど。どうぞ」
パイを、竜司の口元に付き出す。
竜司はゴクリと喉を鳴らして遠慮がちに、一口サクリとパイを食べた。
すると、一瞬にして顔が真っ赤になった。
「かかかか……間接キスだね……」
不味かったのかしら?
そういえば、コアラって草食よね?
肉を与えたのは失敗かもしれない。
「でも、今夜はずっと一緒だよね……ちゃんと茉莉果ちゃんのご両親に挨拶しないとな……ああ、緊張するなぁ……同じ部屋は許してくれないよね……」
竜司は、一人でブツブツと独り言を始めた。