SWeeT†YeN


顔を赤くさせたままの竜司は、勝手に観光案内まで始める。


「ここは、メープル(楓)の木が両脇に生えている事からメープル街道って言われているんだ」


そういえば、柏原がパンケーキにかけるメープルシロップは、カナダから取り寄せているって言ってた。

パンケーキの中にもシロップが入っていて、すごく美味しいのよね……



「葉っぱの形が、カナダの国旗になってるんだよ」


へぇ……
見当もつかないわ……

残念だけど。




「竜司って、物知りなのね。柏原みたいだわ」


その言葉で、竜司の顔がみるみるうちに歪んでいく。


「その名前は聞きたくない」

その瞳は、威嚇の色を濃くする。

私は、柏原に会いたいからこんな所まで来ているのに
竜司は柏原が嫌いなのね。






車は森を抜け、集落を抜け、大きなタワーやビルがある近代的な都市に入る。


「到着しました」


着いた場所は、ホテルのロータリー。石畳の道は、かなり揺れた。


< 298 / 554 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop