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顔を赤くさせたままの竜司は、勝手に観光案内まで始める。
「ここは、メープル(楓)の木が両脇に生えている事からメープル街道って言われているんだ」
そういえば、柏原がパンケーキにかけるメープルシロップは、カナダから取り寄せているって言ってた。
パンケーキの中にもシロップが入っていて、すごく美味しいのよね……
「葉っぱの形が、カナダの国旗になってるんだよ」
へぇ……
見当もつかないわ……
残念だけど。
「竜司って、物知りなのね。柏原みたいだわ」
その言葉で、竜司の顔がみるみるうちに歪んでいく。
「その名前は聞きたくない」
その瞳は、威嚇の色を濃くする。
私は、柏原に会いたいからこんな所まで来ているのに
竜司は柏原が嫌いなのね。
車は森を抜け、集落を抜け、大きなタワーやビルがある近代的な都市に入る。
「到着しました」
着いた場所は、ホテルのロータリー。石畳の道は、かなり揺れた。