SWeeT†YeN
「よし! じゃ、とりあえず僕たちの部屋にいこうか? ひひひ……一部屋しかとってないけど、いいいいい……いい?」
「いいわよ」
私は頷くと、竜司とゴクリと喉を鳴らしてエレベーターホールへと向かう。
四天王は、荷物を降ろして寺社に帰っていったようだ。
────明るいテラスのある部屋に案内されてソファーに座り込む。
自然とため息が出た。
「はぁ……」
ティーセットの用意があるけど、そんな気分じゃない。
そんな私を、竜司が心配そうに気遣う。
「大丈夫? 茉莉果ちゃん、疲れた? 喉乾いた? 寒い? どっか痛い?」
柏原だったら……何も言わずに少し離れた所から見守ってくれる。
竜司は、真隣に座りジーッと私の様子を伺っている。
「うるさいわ。少し静かにして……」
シュンとした表情は、罪悪感を駆り立てるけど……
やっぱり私には、柏原じゃないとダメなのよ。
どうしよう……
もしお父様に、柏原と離れて暮らすよう言われても、私は従うつもりはない。
最初からお父様なら、私のワガママを聞いてくださると信じてカナダに来た。
だけどこのまま、竜司と寧々さんと生活するように言われたら?
どうしたらいいのかしら?
私には、『柏原が必要だ!』と説明できるかしら?