SWeeT†YeN
────コンコン!
ドアをノックする音。
竜司が慌ててドアを開いた。
「茉莉果っ!」
会いたかったお父様の声が聞こえて、次の瞬間には私の視界が真っ暗にかわる。
くっ……苦しい……
何なのよ……
この恒例行事みたいな抱擁わっ!!
「茉莉果ぁー! まさか茉莉果がトロントまで来てくれるなんてー! 嬉しいぞ!」
「おっ……お父……様……くっ……るし」
お父様は、拘束力を拡大させていく。
まただ……遠くから天国の祖母の声が聞こえてきた。
『茉莉果……しっかり。大切なものを取り返すのよ……ファイト♪』
おばあ様ぁ……
「あなた! 次は私の順番よ!」
ハスキーなソプラノボイスが聞こえたと思ったら、肺に酸素が送り込まれ、華奢なお母様に包まれ一命をとりとめる。
危なかったわ……
今回こそ、本当にお父様に殺害されるところだった。