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「柏原さん、負けてくださいますよね? 紫音家繁栄のために! 茉莉果様は紫音家ただ一人の後継者なのです。西原家との縁談が破談となれば、対外的なダメージもとより、お嬢様自身にも傷がつきます。そのことを紫音家使用人として、もちろん理解されていますよね?」



陽子さんは、すがるように柏原の足に絡み付いた。


「先日もお話しましたよね? あなたとお嬢様では未来がないと、それはお嬢様にとって不幸な道でしかないのですよ」



「勝手なこと言わないでよ!」


嫌いな女が、柏原に触れているだけで虫酸が走る。



「お嬢様は世間を知らなさすぎます。彼に騙されているだけです。柏原さんが『勝つ』事などありえません。それがお譲様に対する答えです」


「黙りなさい」


我慢の限界よっ!


「お嬢様は、竜司様を応援なさってください!」


この人にとって……
紫音家の繁栄が全て。



でも、不安になってきた。

柏原がわざと負ければ……
それが私に対する柏原の答えなのね……







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