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「待ちなさい! 柏原」
「まだなにか?」
柔らかな笑みを抱えたまま柏原は、ゆっくりと振り返る。
「その笑みは偽物よね。貴方の本物の笑顔を見せる時は、もっと性格悪そうに笑うもの……私の愛は本物よ!」
柏原の本物の笑顔は"柔らかい笑み"じゃない。
人が苦しむ顔を見て、嘲笑う悪魔みたいな笑みだ。
黒く……
美しい笑み……
そう、例えるなら……
クスクスと笑いはじめた、その笑みよ……
真っ黒なオーラー全開で、その場にたたずむ者を惹き付けて離さない。
狂うほどに、魅せられてしまう。
私は、この狂気に完全に惑わされている。