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「柏原」

「はい、茉莉果お嬢様」



シャープな顎のラインに人差し指を這わせると、その指に口付けをされた。

美的なラインの唇は、少し冷たい。




「十キロまでよ?」


「はあ、なにが? ……でございますか?」



柏原は綺麗な唇を私の指から離すと、眉間にシワをよせた。


「十キロまでは許すわ」



私は、心が広い。

ちょっとくらい柏原がぶくぶくしてしまっても許してあげるわ。


本当に、貴方は幸せな執事よね?


私をジッと見る執事の顔を、見つめ返す。


この綺麗な顔は、ある程度年齢を重ねても維持されるだろう。


今の体重をキープできるのならば……




でもそれより問題なのは……


しなやかな黒髪に指を通してみる。

今はフサフサと過不足なくキューティクルな髪の毛。


「まぁ、ここはお金で解決できるわね……」




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