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セルマン先生とは、レッスンの後に屋敷で夕食をご一緒する。
いつも美味しいチョコレートや甘いお菓子を買ってきてくださるのよね。
今日は急遽レッスン時間が短縮されて夕食の準備に慌ただしい柏原は少し不機嫌そう。
「何か手伝いましょうか?」
そんな柏原を見ているだけじゃ可哀想よね。
名案ね♪
ハイチェアから飛び降りた私。
「いえ、貴女はその場で可愛らしく座っていて下さい。片時も、貴女だけを見つめていたいので……その場が一番最適なのです」
柏原は、麻薬よりもっと強烈に翻弄させられてしまいそうな程美しく笑う執事だ。
危険な男ね……
見るもの全てを魅了する。
物凄く迷惑そうな顔をしてからの、魅惑の笑みは本当に見事だ。
私は、クラクラとしながらハイチェアに座り直して、執事に手を振った。
柏原は、それを満足そうに受け止めると……私には目もくれずに、「邪魔がはいっては、夕食が明日になってしまう」と呟やきながら華麗に夕食の準備を進めていったのだ。